胡蝶蘭の発見

1800年代後半、南米原産のカトレアという蘭がイギリスに輸入されました。カトレアが開花した際、魅力的な形状がイギリスの富裕層の注目を集め、蘭に対する大きなブームを引き起こします。

富裕層は珍しい蘭を探し求め、オーキッドハンターを雇用するようになります。オーキッドハンターは蘭専門のハンターのことで、珍しい蘭を探索し、販売して生計を立てている人々を指します。オーキッドハンターたちは世界中を巡り、新種の蘭を見つけ出すために探索を続けていたのです。その結果、東南アジアの熱帯地域で胡蝶蘭の原種が発見されます。

胡蝶蘭の原種は現在のような鮮やかな色ではなく、ほとんどの花に複数の色が混ざり合い茶色く、また、小ぶりで花弁のサイズも小さいものでした。全体の1～2割程度の白い花弁を持つ胡蝶蘭を培養し、品種改良を重ねていった結果、現在の美しい姿へと変わっていきます。

日本に伝来

胡蝶蘭が日本に伝わったのは明治時代といわれています。当時の日本は胡蝶蘭の栽培環境が整っておらず、また寒冷期もあったため、栽培・管理が難しい状況でした。そのような背景から、胡蝶蘭はほとんど輸入品に頼るしかなく、一般の人々には手の届かない上流階級向けの高級品だったのです。

しかし、明治時代末期から大正時代にかけて設備・技術が発展し、胡蝶蘭が普及していきます。また、品種改良も積極的に行われ、ピンクなどの胡蝶蘭が作られるようになります。安定して栽培できる環境が整うと胡蝶蘭の栽培農家も増え、供給が安定化したことで一般市民にも手が届く価格帯になり、胡蝶蘭は日本全国に普及しました。

胡蝶蘭が贈り物として人気の理由

胡蝶蘭がお祝いの贈り物として定着した理由をご紹介いたします。

縁起の良い花言葉を持っている

贈り物は縁起の良いものを選びたいと考える方は多くいらっしゃいます。中でも花をプレゼントする場合、花言葉にも注目するケースは少なくありません。日本では昔から言霊を信じる風習があり、言葉の持つ意味を大切にする傾向が見られます。胡蝶蘭は「幸福が飛んでくる」という花言葉を持っています。幸せが舞い込むといったイメージから、開業祝いなどの贈り物として選ばれるようになったと考えられます。

贈り物としての価格帯が適切

贈り物の値段は、あまり高額でも低額でも双方が気を遣ってしまうことになります。その点、胡蝶蘭はビジネスシーンや大切な方への贈り物として、適切な価格帯といえます。例えば、人気があるピンクの胡蝶蘭を見てみると、3本立ちの一般的な相場は10,000円～30,000円、5本立ちは20,000円～50,000円の範囲で、比較的手頃です。

年中入手できる

品種改良と栽培技術の発展により、胡蝶蘭は1年中入手できる花になりました。現在は通販で購入することもできるため、季節を問わず贈れる花として人気です。